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進平(斎藤工)に起きた悲劇

『海に眠るダイヤモンド』第7話 ©TBSスパークル/TBS
『海に眠るダイヤモンド』第7話 ©TBSスパークル/TBS

 一平も、最初は強く反対した。だけど、戦争中にも辰雄のように覚悟を持って個のために声を上げ続けた人間はいたはずで、その声に耳を傾けず、戦争へと突き進んだ1人として、悔やんでも悔やみきれないほどの後悔を抱えている一平は辰雄の覚悟を目の当たりにして、その決断を尊重する。

 そんな一平たちが見守る中、マイクを通して島民に語りかける辰雄。

「端島は炭鉱の島です。石炭は我々の財産、生きる糧でした。しかし、本当の財産はここで生きている、働いている皆さんです。もう石炭がとれなくても、端島が終わっても、命にはかえられない。これ以上、甚大な事故を起こすわけにはいかない。この3日間の皆さんの働き、そして、この島で働く全ての人に、敬意を称します。ありがとう」

 その結びの言葉である「皆さんが生きている限り、この島の灯火は消えません」が、サブタイトルの「消えない火」が表すもう1つの意味だ。これまでも多くの作品で全体のために犠牲となった個を描いてきた脚本家の野木亜紀子。

「命あってこそ」という、その一貫したメッセージが辰雄の言葉にも集約されているように感じた。

 そして、辰雄の決定を受けて鉄平(神木隆之介)が水没放棄のために排水ポンプを停止するシーンでは、神木隆之介の俳優としての凄みを感じずにはいられなかった。涙を必死に堪えながら、ポンプを止める時の顔は完全に端島で生まれ育った人間の顔だ。表面的な演技では絶対に出せないその表情に、こちらまで身が引き裂かれる思いがした。

 その一方で負傷した作業員たちも次々と撤退し、安心したのも束の間、最後尾にいた進平(斎藤工)に悲劇が起きる。誰もいなくなったトンネルの向こうに、亡き妻の栄子(佐藤めぐみ)の姿を見る進平。一酸化炭素中毒による幻覚だった。そちらへと一歩を踏み出そうとした瞬間、進平は正気を取り戻し、自分の帰りを待つリナ(池田エライザ)や息子である誠のもとへ向かおうとするが、その途中で力尽きる。

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