『ライオンの隠れ家』に出会えたことに感謝を…小森家の”その後”をもっと見たいワケ。最終話考察レビュー
text by あまのさき
ドラマ『ライオンの隠れ家』(TBS系)が完結を迎えた。本作は、主演の柳楽優弥&坂東龍汰演じる兄弟の前に、謎の少年「ライオン」が現れたことで、2人の生活が一変していくことになる。家族愛や兄弟愛の変化を描く愛と絆の物語だ。今回は、最終話のレビューをお届け。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:あまのさき】
アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。
小森家の”その後”
『ライオンの隠れ家』の最終話では、洸人(柳楽優弥)と美路人(坂東龍汰)の家に、愛生(尾野真千子)と愁人(佐藤大空)も暮らすことになった、その後の日常が描かれた。
洸人の突然の不在に美路人がパニックを起こしていた頃、洸人は東京にいた。自然に足が向いたのは、かつて通っていた大学。たしか洸人は両親の死をきっかけに、大学を中退したと言っていた。きちんと卒業できなかったことが心残りなのだろう。
時間がほしかった洸人だが、美路人は自分が面倒くさいからだと考えてしまっていた。それを聞いた愛生は「ずっと一緒にいてくれた人をそんな風に言うもんじゃない」と諭す。
短い時間だったかもしれないが、子どもの頃から洸人がいかに美路人のことを考えて生活をしていたのかを、愛生は知っている。そして、不意にすべてから離れたくなるときがあることも。
「みっくんと自分を分けたとき、自分に何が残るのか?」と、洸人の心の声が問う。あなたには優しさがあって、思いやりがあって、大事な人のために動ける強さがあって…と、いくらだって挙げられる気がした。でもきっと、そのどれも、洸人が欲しい答えではないのだろう。
帰宅した洸人は、しばらくしてから愛生に「武器を見つけたい」と話す。かつて「野球しようぜ」と誘われていた洸人の背中を力いっぱい押したように、愛生は洸人の背中を押してくれた。
「どれだけ近くにいても何を思ってるかなんてわからない。言葉にしてぶつけないと」と穏やかな笑顔で言えるのは、洸人たちの助けもあって、祥吾(向井理)とのことを乗り越えられたから。