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神木隆之介の演じ分け、恐るべし…端島閉山から50年、『海に眠るダイヤモンド』が描いた人のつながりの奇跡とは? 考察&評価

text by 田中稲

22日で完結を迎えた日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)。高度成長期、石炭産業で躍進した長崎県・端島と2018年の東京、2つの軸を行き来する壮大な愛の物語だ。ついに端島は閉山し、姿を消した鉄平が残した希望とは?今回は、クライマックスまでの物語を振り返る。(文・田中稲)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

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【著者プロフィール:田中稲】

ライター。アイドル、昭和歌謡、JPOP、ドラマ、世代研究を中心に執筆。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡出る単 1008語』(誠文堂新光社)がある。CREA WEBにて「田中稲の勝手に再ブーム」を連載中。「文春オンライン」「8760bypostseven」「東洋経済オンライン」ほかネットメディアへの寄稿多数。

「石炭が出れば、石炭が出れば」のひたむきさ

『海に眠るダイヤモンド』最終話 ©TBSスパークル/TBS
『海に眠るダイヤモンド』最終話 ©TBSスパークル/TBS

 端島がついに閉山。神木隆之介主演の日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)最終回が22日放送された。「一島一家」という言葉通り、一つの家族のような島のつながりを見て、こちらまでともに暮らしているような一体感を持ち観続けた。

 島の最後を見るのは本当に寂しいが、「終わりははじまり」ということを感じさせてくれる最終回だった。消えた鉄平が、残してくれた希望とは――。第7話から振り返ってみたい。

 鉄平(神木隆之介)と朝子(杉咲花)、賢将(清水尋也)と百合子(土屋太鳳)が思いを確かめ合い、進平(斎藤工)とリナ(池田イライザ)に子どもが生まれ、幸せの絶頂で終わった第6話。あまりにも幸せが集まった回だったので、ああ、ここが頂点で、悲しい展開に変わっていくのだと予測することができた。

 そして第7話で描かれたのが坑内火災。事故が起こった深部区域を水没させることが決定する。ここで鉄平は人手不足をフォローするため自ら炭鉱の入り口に入り、最後に水没させるための水を出すハンドルを回す役割を任されてしまう。結局、これをすることで、彼は自らの手で炭鉱の一部を葬ってしまった罪悪感を、無意識的に背負ってしまったのではないだろうか。

 そして炭鉱員たちは、これがきっかけでどんどん島を出てしまう。配置転換、希望退職者は2000人も。しかし、端島に骨をうずめようとする人もおり、祈るように、石炭が出る新区域を開発する。

 第8話に漂っていたのは、その「ひたむきさ」である。

 石炭が出れば、石炭が出れば。この言葉の繰り返しに、「消えそうな故郷の幸せを願う」という切なる思いが詰まり、何か忘れていたものを思い出さされた。

 ひとたび何かすれば噂が広まるが、全員が1つの同じ目標に心を向けられる。それが端島なのだ。現代パートでなにも幸せを見いだせなかった玲央(神木・2役)が、その一点集中の情熱に心動かされるシーンは、深く共感してしまった。

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