吹越満“伊勢崎”の緻密さを活かしたスキーム

『プライベートバンカー』第5話 ©テレビ朝日
『プライベートバンカー』第5話 ©テレビ朝日

 努(安井順平)・果澄(MEGUMI)夫妻に横領問題のおわびとして、安くアートを売ることになった伊勢崎。ある一枚の絵を指し、「大胆な筆遣い 見る者に媚びない自由なレイアウト」と褒めちぎる。

 ものすごくストレートに言えば、変な生物らしきものが2匹描かれた、よくわからない絵。だが、アートに知見のある伊勢崎が400万円と明言すれば、とたんに価値があるものに見えてくるのだから不思議だ。

 伊勢崎は、この多様的なアートの価値観を利用していた。本来の価値より高額な値段を提示、ある代理店を介して中抜きを繰り返すことで、1億円もの大金を横領していたのだ。

 決定的な証拠がない限り99%バレることのないこの横領は、美琴の無理難題を叶えてきた、緻密な性格の伊勢崎だからこそできたスキームだったのかもしれない。

 ちなみに、伊勢崎が褒めていたヘンテコな絵は、庵野の助手・御子柴修(上杉柊平)が描いたもの。庵野の華麗な突破劇はもちろん、彼の画伯っぷりにもぜひ注目してみてほしい。

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