NHK夜ドラ『バニラな毎日』考察&解説レビュー。生え際の白髪を隠さない永作博美の自然体の演技の魅力とは? 【ネタバレ】

text by 小林久乃

賀十つばさの小説を原作に、蓮佛美沙子、永作博美、木戸大聖の共演でおくるドラマ『バニラな毎日』(NHK総合、月~木 後10:45)は、各話15分全32話で構成され、大阪の小さな洋菓子店を舞台にしたヒューマンドラマだ。本作の魅力を多角的な視点で解説する。(文・小林久乃)

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【著者プロフィール:小林久乃】

出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーション業などを生業とする、正々堂々の独身。最新情報はこちら

観る者の心に寄り添う共感性の高い作品

夜ドラ『バニラな毎日』第1週 第1話©NHK
夜ドラ『バニラな毎日』第1週 第1話©NHK

 ドラマ『バニラな毎日』(NHK総合)を録画して、寝る前に見るのが楽しみになっている。あらすじはこうだ。

“大阪で洋菓子店を営むパティシエ・白井葵(蓮佛美沙子)は、経営困難により店を閉店させてしまった。完璧なお菓子を完成させるため、何もかも妥協ができなかった。借金返済のため、いくつもバイトを掛け持ちする日々。店舗はいまだに開け渡すことができず、家賃を支払っている。ある日、料理研究家の佐渡谷真奈美(永作博美)から声をかけられて、店舗でお菓子教室を行うことに…”。

 概要だけ読めば、よく見るようなドラマだ。でも物語の奥底には自分と照らし合わせるような、いくつもの葛藤や、ジレンマが詰まっていた。「これは自分のことかもしれない」と、作品を見ながら思った私が件の箇所を綴る。

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