教育とエンターテイメントとのバランスをどう取るか
日曜劇場といえば重厚な作品というイメージがつきまとうが、見る人は皆が思慮深く、思考を深くまで潜らせられるわけではない。
単純に日々の日常を忘れてドラマというフィクションのエンターテイメントを楽しみたいと思うのもひとつの正解で、第5話で揶揄された「倍返し」に興奮し心震えていた人もいることだろう。
その点で常に考えることを求める御上(松坂桃李)がいて、優秀な生徒たちがあれやこれやと試行錯誤しながら進んでいく姿に置いていかれるような時間も正直ある。
彼らのような人間でありたい一方で、実際は難しいというのが視聴者の本音ではないだろうか。何かを学んで成長したいと心のどこかでは思っていても、特に何も考えることもなくスマホに何時間も目を落としてしまうのもまた現代の人間の姿なのだとも思う。
『御上先生』の話に戻ると、教育とエンターテイメントとのバランスをどう取っていくかが、この作品が後世に残るかどうかの分水嶺となりそうな予感。だがその一方で、おそらく全体の半分まできている現状で、謎を謎のまま残しているのは巧みだ。