瀬川(小芝風花)ゲッソリ
残酷でもある蔦重の地域活性化プラン

『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第5話 ©NHK
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第5話 ©NHK

 恋愛においても蔦重はなかなかの「べらぼう(大馬鹿)」である。吉原細見「籬の花」は売れに売れた。しかし、蔦重が盛り上げるほどに、瀬川をはじめ、女郎たちは忙しくなる…つまり、体をすり減らすことになるのである。

 蔦重のために不吉な名「瀬川」を襲名した花の井(小芝風花)は、特に過酷だ。好きな男の仕事が順調になるほど、他の男に抱かれる回数が増えていくのだから。

 第8話「逆襲の『金々先生』」で、客の布団で、痛そうに腰をさすりながら、げっそりと「めちゃくちゃしやがって」と吐き捨てるように言うシーンは、本当にリアル。蔦重の地域活性化プランは残酷でもあることを思い知らされる、すごいシーンである。

 ところが第8話、蔦重は、その瀬川に、当時の女性が身につけるべき知識や教養、心得ておくべき教訓などが記された「女重宝記」をプレゼントする。そしてトドメにこう言うのだ。「おれ、お前にはとびきり幸せになってほしいんだよ。女郎は世間知らずで、それがもとで追い出されちまうって言うじゃねえか。そうならないよう、これ読んどきゃいいらしんだよ」。

 何目線やアンタは(震)! 恐ろしいほどのデリカシーなし男。横浜流星が粋に演じているからカッコよく思えるが、蔦重、なかなか最悪な男である。お稲荷さんの「バーカ!」は当然の罵倒。

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