次郎兵衛(中村蒼)さまの癒しシーンを熱く語ろう

『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第8話 ©NHK
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第8話 ©NHK

 カラッと明るく描かれてはいるが、やはり吉原が舞台なので、エピソードは重い『べらぼう』。そんななか、毎回のほほんと江戸の趣味事を楽しんでいるマイペース長男・次郎兵衛さま(中村蒼)が癒しだ。

 駿河屋(高橋克実)の実子で、蔦重の義理の兄。しかし本物の兄弟のように仲良し。ああ尊い! もう私の中で「JB」といえばジェームス・ブラウンではない。次郎兵衛(JIRO-BEE)さまの略である!

 特にこの7~9話は見どころ満載。彼の名シーンをプレイバックしたい。

 第7話は、次郎兵衛さまの機微の深さを見ることができた神回。見ましたかッ、蔦重のちょんまげをやさしくなでるシーン! 過去回を遡れば、忘八たちに蔦重と頭の出来を比べられ馬鹿にされていたのに、蔦重に嫉妬のシの字もなく愛情を注ぐ、その包容力よ!

 新しい吉原細見のブラッシュアップも、文句を言いつつしっかり手伝っていた。働くのが嫌いではあるが、やればできるタイプである。

 第8回の次郎兵衛さまは、いち早く三味線仲間から情報を仕入れ、鱗形屋の新作「金々先生栄花夢」を入手。鼻をほじりながら、蔦重にその面白さを伝える姿に、肩の力が抜けた、大人の余裕を感じるではないか。

 辛いエピソードが重なった第9話では、彼の歌声に救われる視聴者続出。のんびりした性格と、ロックな歌い方とのギャップに萌えた。

 次郎兵衛さまを見ていて思い出すのが、ドラマ『JIN-仁-』(2009~12、TBS系)に登場する、咲(綾瀬はるか)の兄、恭太郎さん(小出恵介)である。長男という立場に強い使命感とコンプレックスを持っているところはちょっと違うが、家族をやさしく見守り、性格の良さで陰ながら大きな成果を出す、そんな「自覚のない包容力」がとても似ている。

 次郎兵衛は実在の人物だが、どんな人生を送ったのか、あまり詳しい資料は残されていない。蔦重が本屋を開店してからも交流はあったようなので、毎回ワンシーンでもいいから登場し、長生きし、最終回では、彼が蔦重を看取ってほしい。

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