25年前の「絶対に大丈夫」が堂島の心を震わせる

『119 エマージェンシーコール』第8話 ©フジテレビ
『119 エマージェンシーコール』第8話 ©フジテレビ

「俺たちはスーパーヒーローのチームじゃない だからこそそれぞれが努力して協力し合うんだよ」

 全部を自分一人のせいにするんじゃない、と。そう伝える堂島の泰然とした人柄は、ふっと雪の心を軽くし、同時に明るく照らしてくれる。

 堂島の言葉がすっと心にしみわたるのは、彼が指令管制員という仕事に人生をかけてきたからだ。その仕事を病気により失うかもしれない現実を想像したときの痛みは、計り知れないものがあるだろう。

 先に辞めることを決めてしまえば、突然取り上げられるより傷が浅くて済むと考える気持ちもものすごくわかる。“レジェンド”であろうとも、なにより耐えがたいものがある。堂島という人間が、一気に近く感じる。

 そんな堂島に、「らしくない」と放ったのは雪である。雪が幼い頃に119番通報をしたとき、「絶対に大丈夫だ」と懸命に励ましてくれたのは堂島だった。第4話でも表現されたとおり、指令管制員にとって「絶対」はとてつもなく重責のある言葉。

 でも、助けたいと思ったときにはどうしたって出てしまうその「絶対に大丈夫」に、かつての雪は勇気をもらったのだ。人生の岐路にたつ堂島に、雪がかける言葉はあのときと同じ「絶対に大丈夫」。それは25年という時を経て、堂島の心を震わせたのではないだろうか。

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