作り手と視聴者がともに”真剣”にドラマに向き合う

『119 エマージェンシーコール』第8話 ©フジテレビ
『119 エマージェンシーコール』第8話 ©フジテレビ

 堂島の勤務最終日には、指令システムがダウンしてしまう。ドローンが原因とみられる玉突き事故が高速道路で発生し、事態は一刻を争う。緊急体制に入り、通報内容は手書きでメモ、場所は地図を見ながら調べるなど、すべてがアナログに。連係プレーに圧倒されながらも、指令管制員たちの切迫した様子がダイレクトに伝わってくる。

 とくに、堂島が直接無線で指令を行った場面は、強く記憶に刻まれているシーンだ。冷静に指令を告げつつ、声のトーンにはひたむきな思いがのっている。遠くない未来、また堂島が指令管制員として戻ってくることを願わずにはいられない。

 前回の話になるが、第7話で失声症をもつ小夏(蓮佛美沙子)からの通報が描かれたとき、SNS上では「スマホのスピーカーモードは利用できなかったのか」「直接救急隊に居場所を伝えることはできなかったのか」などの声が上がった。そんな疑問に対し、公式Xは「プチナビ!番外編」と称してプロデューサー目線の説明を投稿。

 疑問への回答はもちろん、このポストでわかるのは、視聴者の声と向き合いながら真摯に作品を紡ぐ作り手、そしてドラマを真剣に鑑賞する視聴者の存在だ。いよいよ、最終話が近づいてくる頃。誠実さがぎゅっと詰まった本作を、最後まで大事に見届けたいと思う。

(文・西本沙織)

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