「険しい表情で近づくミスリードを仕込んだ」
前編と後編にギャップを持たせる工夫
―――幼少期に両親が離婚してから母親と二人三脚で生活してきた高校生の俊にとって、父親に頼ることは大きな決断だったと思います。そんな俊からの電話を取るシーンではどのような思いで演じられましたか?
「海外に行くほど自分のやりたいことに真っ直ぐな性格なので、俊の置かれている状況とギャップがあるような、少し能天気なくらいのお父さんがいいんじゃないかなと考えました。ある種、明るさやポジティブさを持っていて、家族と会えないということにまるで悪気がない。だから、家族も言いにくい。俊と父親は、そこに距離が生まれてしまったのではないでしょうか」
―――俊は「あの人には頼りたくない」と麗奈に打ち明けるシーンがあったので冷たい印象のキャラクターだと想像してしまいましたが、麗奈との初対面のシーンで明るいお茶目な人だと分かったときは驚きました。
「あのシーンは、前編で俊が語る父親のイメージが既に出来上がっていたので、そこからギャップを作りたいと思って演じました。険しい表情で近づくミスリードを仕込んだので、麗奈だけではなく、観ている方にも驚いていただきたいです」
―――後編『女神降臨 After プロポーズ編』では、俊は父親の撮影現場に同行するくらい仲が良くなっていました。この仲の良い親子関係性を作るために工夫されたことはありますか?
「神田隆雄はやりたいことを貫く父親ですが、俊もまた、他人にどう思われても気にしないタイプだと感じました。そこで父と子の関係性においても、お互いに遠慮のない自然なやりとりが生まれるように表現しようと考えていました。ある意味すごく似ている親子なんです」