奥行きを感じさせる
主演2人のナチュラルな芝居
一方の大沢一菜は、『こちらあみ子』でもそうだったが、話し方のクセというか、言葉のリズムに独特なものがあるように感じる。それが、『~あみ子』のときにはどうしても周囲に馴染むことができない子に、『姪のメイ』では独自の世界を持った変わり者に、なっている。
1度聞いたら忘れられない大沢のあのリズムと声で、メイの亡き父が授けてくれた哲学を口にされると、そこになんとも言えない説得力が生まれるのだ。だからこそ、小津がまだ小学生であるはずのメイとのコミュニケーションの中で気づきを得ても、わたしたち視聴者も納得感を得られるのだろう。
そんな2人がそろうシーン、特に2人だけのシーンは、言葉と表情のキャッチボールがとても自然だ。
向かい合って朝食を食べているときなど、もしかして今のところって台本なかったんじゃない……? なんて想像したくなってしまうほど。大沢演じるメイは、ちょっとぶっきらぼうに言葉を置くように物を言い、本郷演じる小津は、眉間にしわを寄せたり少しにやけたりしながらメイの言葉を受け止める。
役者さんにこのような表現は適切ではないかもしれないが、こうしよう、ああしよう、という演技プランではなく、相手の言葉や表情、仕草に対して脊椎反射で反応しているように見えるのだ。それゆえにやりとりが自然体で、だからこその奥行きを感じさせてくれる。
「卵の味付けが違う」、「料理の腕上げたね」などのメイがぽとりと置いていく言葉のリアルさと、小津の反応のナチュラルさに、ぜひ注目していただきたい。
1話30分だからこそ、内容がぎゅっと凝縮された『姪のメイ』も、いよいよ佳境。2人は福島を離れ、同居生活を解消してしまうのだろうか? そのときメイはどんな言葉を発し、どんなふうに表情を変えるのか、それに対し小津はどう反応するのか、今から楽しみだ。
(文・あまのさき)
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