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ドラマ『団地のふたり』が浮き彫りにする50代女性のリアルとは? 小泉今日子と小林聡美をテレビで観る喜び。解説レビュー

text by 小林久乃

作家・藤野千夜による同名小説を原作にしたドラマ『団地のふたり』が、NHK BSプレミアムにて放送中だ。小泉今日子と小林聡美が扮するのは団地で生まれた幼なじみの2人。今回は、ドラマの魅力を多角的な視点から紐解いていく。(文・小林久乃)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:小林久乃】

出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーション業などを生業とする、正々堂々の独身。最新情報は こちら

小泉今日子と小林聡美を観る喜び

『団地のふたり』第6話 ©NHK
『団地のふたり』第6話 ©NHK

 最近、周囲の中高年女性がドラマ好きの私によく話しかけてくる。

「あのー、小林さん、『団地のふたり』観ています?」

 なんだかとてもうれしそうな様子も、質問してくる彼女たちの共通項。これは快挙という事実だと呼んでいい。なぜなら『団地のふたり』が放送されているのはNHK総合局ではなく、NHK BS局だ。思い入れがある番組でもないと、視聴者はなかなかBSには縁遠い。

 2023年に放送された『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』のように、BSで放送後に、総合局で再放送されて人気を獲得したパターンはいくつかある。ただ『団地のふたり』のように、視聴者がこぞってBSへ突入していくことは稀有だ。

 ではなぜそんなに人気なのかといえば、まずは主演がなかなか地上波でお目にかかりにくくなった、小泉今日子と小林聡美であることだ。女性の生涯未婚率が人口全体の約18%まで上昇している昨今(国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2023)改訂版」より)、面目躍如としたイメージのふたりは、女性の憧れ。

 そして日本女性であれば、ふたりがこれまで出演してきた作品にどれだけ励まされてきただろうか。小林の出演作、映画『かもめ食堂』(2006年)『めがね』(2007年)。キョンキョンに至っては『最後から二番目の恋』(フジテレビ系・2012年)をはじめ、数えきれないほどの作品に楽しませてもらった。

 彼女に至っては多くの曲が、今でもカラオケでお世話になっている。つまり、出演作に全幅の信頼があるふたりが出演しているのなら選択肢は観るのみ。

 すみません、熱くなったところで本題。では実際に『団地のふたり』を観てどうだったかと言えば、共感する部分が非常に多く、リアリティ性が高かった。間違いはなかった。

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