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ドラマ『95』の病みつきになる面白さは“終末感”にあり? 役者・髙橋海人の凄みとは? 徹底考察&感想レビュー

text by 田中稲

テレビ東京開局60周年記念ドラマ『95』(テレ東系)。 本作は、早見和真の小説を原作とし、主演の髙橋海人が1995年に起きたある出来事について回想する。今回は、舞台である1990年代の日本のカルチャーにフォーカスしたレビューをお届けする。(文・田中稲)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:田中稲】

ライター。アイドル、昭和歌謡、JPOP、ドラマ、世代研究を中心に執筆。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡出る単 1008語』(誠文堂新光社)がある。CREA WEBにて「田中稲の勝手に再ブーム」を連載中。「文春オンライン」「8760bypostseven」「東洋経済オンライン」ほかネットメディアへの寄稿多数。

世紀末の閉塞感と希望を演じる
髙橋海人の凄み

ドラマ95第1話よりⒸ「95」製作委員会
ドラマ95第1話よりⒸ95製作委員会

4月8日から、テレビ東京開局60周年記念番組として放送が始まったドラマ「95」(テレビ東京系)。初回から「うっ」となった。こんなに、あの時代の禍々しさを再現するとは――。

みんな弾けているけれど、どこか暗くて、楽しみながらイライラしている感じ。これは今後、観ていてしんどくなるか、のめり込むか両極端だと思った。そして4月22日に放送された第3回を過ぎた現在、ガッチリのめり込んでいる。

主演は髙橋海人。この人は本当に「気まずい」空気を出すのがうまい。持ち前のスターオーラを静かに抑えたり出したりする術を知っているのか、無意識で、それができてしまうのか? 思い出してみれば、昨年の4月、オードリーの若林正恭役を演じた『だが、情熱はある。』(2023、日本テレビ系)も見事だった。

髙橋は現在25歳。彼以外も、タバコを吸うシーンが多いためなのか、全員20代越えの俳優が生き生きと高校生を演じていて興味深い。マルコ役、細田佳央太が一番年下で22歳、翔役の中川大志が25歳、レオ役の犬飼貴丈が29歳、ドヨン役の関口メンディーに至っては33歳!

配役が発表された時は「おいおいキツイだろう!」と思ったものだが、いやいや、ドラマが始まってみると不思議なほど違和感がない。

制服はバッチリ似合うとは言い難いが、そのチグハグさこそが、ドラマのセリフにもある、彼らの持つ「自分だけが世界とズレているのではないか」という感覚に合っている。

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