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「今がピーク!」と言えるような日々を積み重ねること

『9ボーダー』第10話より ©TBS
9ボーダー第10話より ©TBS

 ただ、百合子(大政絢)の気持ちを考えると、心が痛い部分もある。婚約者が行方不明になって、やっと再会できたと思ったら記憶喪失になっていて、知らないところで知らない人を好きになっていた。

 想像しただけでもかなりしんどいのに、その怒りをコウタロウにぶつけることなく、「そばにいるのがわたしでごめんね。そう思い続ける人生は、もう無理」と言い切ったところが最高にカッコよかった。これも、コウタロウといて“わたしはわたしのままでいい”と思える自分になれなかったからこそ、別れを決断したのだろう。

 ひとりでいるのは不幸とか、誰かと一緒にいるのが幸せとか、そんなふうに白黒はっきりつけられない時代になってきている。ひとりでいたって幸せそうな人もいるし、誰かと一緒にいて不幸になる人だっている。

 だからこそ、“わたしはわたしのままでいい”と思える自分に、昨日よりも近づけるように。「あの頃はよかったなぁ」と思うのではなく、「今がピーク!」と言えるような日々を、ちょっとずつ積み重ねていく。それこそが、幸せに続いていく道だということを、『9ボーダー』の三姉妹が教えてくれた。

(文・菜本かな)

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