松下洸平“コウタロウ”の毒と薬効
結婚相手を選ぶための恋愛って、むずかしい。好きという気持ちがなければ付き合うことはできないけれど、好きなだけじゃうまくいかない。29歳の七苗(川口春奈)も、コウタロウ(松下洸平)のことが気になっているのに、「ただ単に浮かれる恋に未来はない」とストップをかけようとしていた。
コウタロウは、スズランのような人だなぁと思う。コロンとしたフォルムで、可愛らしい花を咲かせるスズラン。眺めているぶんには癒されるけれど、実は毒を持っており、摂取すると少量でも死に至る可能性があると言われている。美しいと思って、触れてしまったら最後。もう後戻りはできない。
記憶をなくす前のコウタロウは、なにをしていたのだろうか。今のコウタロウが好きならそれでいいじゃないと言いたい気持ちもあるが、実はとんでもない人だった……なんてことがあれば、取り返しがつかない。しかも、浮かび上がってくる人物像は怪しいものばかり。真っ当に稼いだお金ならいいが、1億もの大金をどう入手したのかも気になる。
ただ、七苗はもうそんなことはどうでもよくなったのかもしれない。コウタロウに不意打ちでキスをされたとき、七苗は拒否することもなく彼を受け入れていた。たとえ、コウタロウが猛毒を持っていたとしても、それでも……と思えるくらいの恋に、七苗は落ちてしまったのだろう。
七苗も、千尋も悪くない。ただ、会社はもう少し、七苗のパンクしそうな心に寄り添ってくれ……と思ってしまう。