長谷川博己の説得力たっぷりの語り口
主演の長谷川が番組宣伝に同局の他番組に出演した際、詳しい内容について問われても「言えないことが多いんです…」という徹底ぶりで、その様子は、2023年7月から同枠で放送され、社会現象にもなった『VIVANT』を彷彿とさせるもので、否が応でも視聴者の興味をそそるものだった。
実際、本作は『VIVANT』に関わったスタッフやキャストが数多く名を連ねている。
こうしたPR戦略は、『VIVANT』のみならず、映画『君たちはどう生きるか』(2023)でも採用され、結果、作品は大ヒットしたものの、仮に作品自体が、そのプロモーションに見合うものでなかったら、逆に反感を買いかねない諸刃の剣だ。TBSもそれを承知の上で、それほどまでに本作に絶対の自信を持っているということだろう。
事前公開された予告映像では、長谷川が「あなたを無罪にして差し上げます」と語るシーンに加え、「あやまちを犯してもやり直せる。日本はそんな優しい国とでもお思いですか? 殺人犯になった時点であなたの人生は終わります」と自信たっぷりにまくし立てるシーンも映し出している。どちらも説得力は十分だ。
日本の刑事裁判での有罪率は99.9%といわれる中、「犯罪の証拠が100%揃っていても無罪を勝ち取る」という、ほぼ不可能なことを、どのように達成するのか…。その脚本に注目が集まっていた。
そんな中で始まった第1話は東京拘置所の面会室から幕を開ける。明墨は、依頼人の容疑者に「あなたは人を殺しましたか?」そしてこう加える「殺人犯として生きることは、どういうことだと思いますか?」と問う。そして、前科者に寛容さのない現実を説き、弁護を引き受ける。