天城が説く“医者のプライド”
天城が手術を進める周りで、エルカノへの歪んだ愛を見せ手術室で騒いでいた野田。「バタバタしないで」と軽くいなす姿は、どことなく二宮和也を感じさせる一言だった。ふわりと掴みどころがなく、軽い印象なのに動じない。二宮がこれまで潜り抜けてきた数々の経験と、天城の人生に通じるところがあるからなのかもしれない。
なおも騒ぎ続ける野田に、ここぞのポイントで天城は“医者のプライド”を説く。曰く、「患者は何が何でも生きたいという思いでこのオペ台にいるんだ。その思いを形にするのが医者のプライドなんじゃないの」。
これこそが、周囲が彼に信頼を寄せる所以だろう。天城先生なら大丈夫、と思うのは、この人なら命から逃げないという姿勢が伝わってくるから。
生きるか死ぬかの手術シーン。「天国と地獄」の音楽に乗せ、素早く画面が切り替わったり、分割されたり。エルカノの分析では4%といわれた手術の難しさ、それに対する天城の手際の良さと美しさが伝わってくる演出だ。「心臓は美しい」のは、天城がプライドを懸けて全力で手術に挑むからこそ。