渡海の指導で医師免許を取得していた猫田
今回は、猫田にとって因縁のある維新大と東城大が手を組み、医療ロボット「エルカノ・ダーウィン」によるVIPの手術を行うことに。AIによって世界中の症例をインプットしている「エルカノ」と、狂いなく細かな手術を実現する「ダーウィン」の融合は、たしかに医療にとっては明るい未来だ。
開発責任者の早川(瀧内公美)を被験者として行われた臨床試験を見守る関係者たちの表情が印象的だった。菅井は「エルカノ・ダーウィン」の成功を確信し余裕しゃくしゃくといった様子である一方、オペ室にいる猫田は機械に言われるがまま進んでいく治療に違和感を抱いている様子。天城(二宮和也)と佐伯は思うところがあるといった風でモニターを眺めていた。
手術は無事に終わったかに見えたが、その後、またしても早川が倒れる。当直の医師がなかなか来なかったことで、またしても猫田が医療行為をしようとする。周囲は必死に止めるが、猫田はメスを離さない。すると、実は猫田が看護師を続けながら医師免許を取得していたことが明らかになった。
描かれたのは、渡海との絆。東城大に来たあと、「変なこと(=医療行為)するなよ。したいなら医者になれ」と言われたことに背中を押され、医者を目指した。縫合の仕方なども、教えてもらっていたようだ。
前作で猫田があんなにも渡海にだけ従順だった理由が腑に落ちる。猫田にとって渡海は、何者にも代えがたい恩人だったのだ。
佐伯から事情を聞いていた天城と「エルカノ・ダーウィン」、そして猫田によって、ダイレクトアナストモーシスが行われる。相変わらず手術シーンの魅せ方のエンタメ性が高い。アップテンポにアレンジされたクラシック音楽と細かく切られた画面で、どれだけ繊細な作業がスピード感を持って行われているのかが伝わってくる。
そして、悪魔のような天才医師・天城と渡海が交錯していく。かつて猫田が渡海に教わった縫合技術を渡海が見守る。猫田も手術をする天城の横顔に渡海を感じているようで、胸が熱くなった。「できたじゃん」と声をかける渡海と「トレビアン、できたね」と声をかける天城は、まったくの別人であるはずなのに、どこかに通じるものがあるように感じてしまった。