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昭和の喜劇王・エノケンと笠置シヅ子の関係がヤバい…号泣必至の実話とは? NHK朝ドラ『ブギウギ』徹底考察&感想レビュー

text by 田中稲

NHK連続テレビ小説『ブギウギ』。本作は、戦後昭和の大スター・笠置シヅ子がモデルの主人公・スズ子(趣里)が、歌手の道を突き進む物語。今回は、生瀬勝久演じる喜劇王・タナケンのモデルであるエノケンこと榎本健一を中心に、物語を史実と共に振り返るレビューをお届け。(文・田中稲)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:田中稲】

ライター。アイドル、昭和歌謡、JPOP、ドラマ、世代研究を中心に執筆。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡出る単 1008語』(誠文堂新光社)がある。CREA WEBにて「田中稲の勝手に再ブーム」を連載中。「文春オンライン」「8760bypostseven」「東洋経済オンライン」ほかネットメディアへの寄稿多数。

スズ子と仲間たちの幸せを堪能できた1月

ジャック・ケネディ、富田望生、連続テレビ小説『ブギウギ』©NHK
ジャックケネディ富田望生連続テレビ小説ブギウギ©NHK

1月のブギウギは、一言でいえば愛だった! 愛助(水上恒司)とスズ子(趣里)のラブラブ同棲生活をほんわか楽しめるシーンが多く、幸せ。そして仲間たちにも、それぞれの愛が溢れていた。戦争が終わり、スズ子(趣里)とスズ子の大切な人たちが、笑顔を取り戻していく一か月――。

ついに劇場が再開し、スズ子と茨田りつ子(菊地凛子)はともに、舞台に立つ。そして想いを込めて「別れのブルース」と「ラッパと娘」を歌うのだが、ムスッと怒った顔が多かった茨田りつ子の笑顔が多く、歌を生き甲斐とする二人だからこそ共有できる、喜びと絆に感動した。これも愛!

そして、上海から無事帰国した羽鳥善一(草彅剛)と、家族との久々の対面も愛だった。子どもたちと抱き合う善一。後から出てきた麻里(市川実和子)の背中には、生まれたばかりの赤ちゃんがいて、家族が一人増えての再会だ。

赤ちゃんのほっぺを触り、

「会えてよかったよ! 僕にもしものことがあったら、化けて出るしかないからね」

泣きながら喜ぶ善一に、麻里も泣きながら、

「もう、笑いごとじゃありません!」

と言って、ひしっと抱き合う家族に、私も心で輪の中に参加して泣いた。

スズ子と苦楽を共にしてきた付き人、小夜ちゃん(富田望生)も恋人の米兵サム(ジャック・ケネディ)にプロポーズされ、とうとう、自分の「家族」を見つけた。小夜ちゃんは少々押しが強すぎて、何度もイラっとさせられたものだが、サムに愛されていると自覚することで、アクの強さが少しずつ収まっていったのは気のせいではないだろう。

きっと、居場所を見つけた余裕と安らぎによるもの。逆にこれまでのオーバーアクションは小夜ちゃんが生きるために、必死だった証なのだとしみじみ。富田望生さん、本当に名演技であった。

二人はアメリカへと旅立っていったが、きっと小夜ちゃんなら大丈夫なはず。愛助さんに、キートンのポスター送ってあげてね!

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