最強のスズ子親衛隊だった夜の蝶たち
スズ子がタイ子ちゃんの相談をしていたのが、田中麗奈演じるラクチョウのおミネ姐さんである。おミネ姐さんのモデルは実在し、「ラクチョウのお米」。戦後の日本には、食べて行くためにやむなく身体を売る女性たちが多くいて、彼女らが集う一定の場所があり、お米は有楽町界隈のリーダーであった。
ラクチョウは有楽町の隠語で、ほかに、新橋の「バシン」、池袋の「ブクロ」、新宿の「ジュク」などがあったという。
彼女たちは、一人乳飲み子を抱えながらも懸命に明るく力強く歌う笠置シヅ子の姿に共感し、応援した。その熱狂ぶりは、花束を持って常に劇場の最前列を陣取るほどだったそうだ。「ブギウギ」の「ジャングル・ブギー」、「買い物ブギ」のシーンでも最前列でノリノリの彼女たちが描かれている。
そしてシズ子も、「毎日、2、30人の人たちが団体で見てくれてはりますが、そのお金がみんなの血の出るような貴いものなので泣けてしょうがおまへん」と感動し、その歓声にいつも笑顔で応え、積極的に交流の機会も作ったという。
2月14日放送回でおミネさんが、「私の夢はね、この仕事をやめたい子たちのために職業訓練所を作ることさ。手に職をつけりゃ、これ以上落ちていくことはないだろ」と語っているが、実際、お米は夜の女性たちが自立するために、洋裁やタイプライターの技術を学ぶ更生施設「白鳥会館」を設立し、笠置シヅ子も協力している。
熱い友情! このあたりもドラマで描いてほしい。