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頼り下手のスズ子に、茨田りつ子の助け舟

菊地凛子、連続テレビ小説『ブギウギ』©NHK
菊地凛子連続テレビ小説ブギウギ©NHK

華やかなステージシーンは毎回楽しいが、2月のスズ子の見どころは、そういった明るさより、むしろスターになったことで無意識に生じた空回りや失敗も多く描かれていたことだと思う。

タイ子ちゃんのエピソードもその一つだが、一人娘、愛子ちゃんの関わり方は最たるもの。

子どもをあずけたくない、常にそばで見守りたいと思うがあまり、撮影上に連れていくも、頭のなかは愛子ちゃんでいっぱい。お金はあるのに誰も雇わない。麻里さん(市川実和子)が「いつでも面倒見るわよ」と言ってくれるのに頼らない。

負担は同行のマネージャー、山下さんにドッと降りかかるのだ。山下さん、けっこうご高齢っぽいのに(泣)。しかしヘトヘトの山下さんに配慮できず、麻里さんにもうまく頼れないほど、スズ子は周りが見えずいっぱいいっぱいだ。

それを救ったのが、茨田りつ子さん(菊地凛子)。口は悪いが、本当に良い人である。言いにくい指摘をズバリ言ってくれる、自分が悪いと思ったらわざわざ謝りに家まで来てくれる、ピンチを先に嗅ぎ取り、何も言わず助け舟を出してくれる――。こんな友達、なかなかいないぞ、スズ子!

ちなみにりつ子さんはスランプ気味という設定だったが、モデルとなった淡谷のりこさんは笠置シヅ子の「東京ブギウギ」「ジャングル・ブギ―」がヒットした1948年、「嘆きのブルース」「君忘れじのブルース』と立て続けにヒットを飛ばしている。そしてこの頃から、戦前から熱望していたシャンソンも歌うようになり、高い評価を受けている。

りつ子さんも、2月22日放送回で、「あんたら人気商売だろう」と、自分たちの存在を正当化してくる腹立つ新聞記者(みのすけ)に「人気が欲しくて歌ってるわけじゃない。たった一人でも一生忘れられない歌、聴かせてあげるわ」とタンカをきったことでふっ切れたと、勝手に想像している。

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