考える隙を与えないのがテオの恋愛術
考えてみると、序盤からテオは常に会話の主導権を握っている。たとえば、侑里が何気なく「真尋、好きな人? なのかな。できたみたい」とテオに伝えたときのこと。
ふつうなら、「そうなんだ」「どんな人なの?」と真尋の話を広げていくと思うが、テオはどんな会話でもアピールに変えてしまう。
「侑里さんには?できてませんか?好きな人」と侑里に関する質問をして、返事に困っているのを察すると、「僕は離れてる間、会いたかったです。侑里さんに」と自分の気持ちを伝えたのだ。
そのあとも、「会えなかった間にもっと可愛くなりましたか?」とまったく関係のない新たなクエスチョンを投げかける。考える隙を与えず、どんどん会話を進めていくというのがテオの恋愛術なのだろうか。恋愛に臆病で、頭でっかちになっている侑里からしたら、流れに身を委ねられるのが心地いいのかもしれない。