ホーム » 投稿 » ドラマ » 最後まで予想を超える展開…クドカンの”粋”過ぎる演出とは? ドラマ『不適切にもほどがある!』最終話考察&感想レビュー » Page 6

最強のパワーワード
『寛容になりましょう』

吉田羊
吉田羊Getty Images

これまで、令和にはびこるコンプラに切り込んできた”ふてほど”。デリケートな話題を扱う中で、批判を浴びた回も少なくなかった…。しかし同時に、今期のドラマの中でも注目を浴びる作品のうちの一つでもあり、最終回の締めくくり方に期待が高まっていた。

さすがの宮藤官九郎。これまで苦言を呈してきた全ての事柄を丸くおさめる最強ワードで大団円を迎えた。それが、主要な登場人物が集合し、喫茶すきゃんだるでミュージカルにのせて披露した『寛容になりましょう』。

市郎のソロで始まる曲の冒頭は「やいのやいのと申してきましたが、とどのつまりは老いも若きも、もっと寛容になりましょうよ!」という、拍子抜けしてしまうほど単純な主張だった。

しかし、この言葉以上に確信を突き、しっくりくる言葉が見つからない。

ちょっとしたことでピリつく現代の人々。いつの間にか、何か少しでも許せないことがあればSNSに書き込み、寄ってたかって集中砲火を浴びせる風潮ができてしまった。

昭和も令和も生きづらいと話す市郎とサカエ。ルールやアップデートは、人々が豊かに暮らしていくために必要なことでもあるが、同時に私たちの首を絞めてしまう諸刃の剣にもなってしまった。

人のミスをいつまでも許せなかったり、それは違うと主張したくなることも多くある。

とはいえ、第8話で描かれた芸能人の不倫騒動や、第9話で問題提訴したパワハラに関する人間関係も、一度でもミスを犯した人間を一生許さないのはものすごく勿体無い。

そんな複雑な感情の入り乱れをまるっと包み込んだのが、「寛容になりましょう」だ。

最終的に「寛容」で済まないようなこともあるが、これまでふてほどが描いてきた出来事は、この結末のためにあったといっても過言ではないような、そんな良い最終回を迎えたように感じる。

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