ふてほど最終回を彩るスペシャルゲスト!
主題歌を担当したCreepy Nuts
前回、最終回のスペシャルゲストを予想した。筆者はこれまでクドカン作品に出演した窪塚洋介や岡田准一ではないかと考えたのだが、その予想は大幅に外れた。しかし、期待以上のゲストが登場!
すでに周知の事実ではあるが、スペシャルゲストは”ふてほど”の主題歌を担当したCreepy NutsのR-指定とDJ松永。
その役柄は、昭和に向かうバスにこっそりと乗り込んだ学生の2人でありセリフは無かったが、劇中で主題歌の「二度寝」を披露し、この粋な演出にネットは盛り上がりを見せた。
一方で、これまで”ふてほど”の柱となったレギュラーメンバーも、胸に刺さるお芝居を見せてくれた。
中でも筆者の胸を熱くさせたのが、すきゃんだるでナポリタンを食べる渚の口についたケチャップを、純子がはいから人魚を口ずさみながら拭ってあげるシーンだ。幼少期と大人になった渚がオーバーラップし「渚のはいから人魚 キュートなヒップに」「ズキンドキン」と呼応するシーンは、これまで積み重ねてきたシーンや設定、その全てが花火のように爆発した瞬間であった。
仲里依紗はもともと実力のある女優ではあるが、いつも良いところを持っていき、視聴者を一瞬にして人を虜にしてしまう役者だ。
これに対し、若手枠の河合優実、磯村勇斗も自分たちの知らない昭和の人間を見事に演じきった。今回、こうした役者陣のキャスティングが実に見事で、他には考えられないほど適役だった。
そして最後に、主人公・市郎を演じた阿部サダヲ。
突然始まるミュージカルシーンを視聴者が受け入れることができたのは、阿部サダヲのおかげである。大人計画のメンバーで構成されたバンド・グループ魂でも発揮しているような抜群の歌唱力、謎にうまいダンスも、阿部サダヲならではだった。
本作の脚本を書き上げた宮藤官九郎も、よくぞめげずに最後まで走り抜けてくれた。人によっては不快に感じる描写も少なからずあったかとは思うが、まだまだテレビのエンタメが光を失っていないということを信じさせてくれた。
「昭和はだめだ」という人もいるが、令和の人間も大して偉くはない。それは「これだから最近の奴は」とこぼす昭和世代とも同様だ。形は違えど、どちらも十分“不適切”だ。
これからはもっと「寛容になりましょう」。
(文・野原まりこ)
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