『不適切にもほどがある!』はぜひ家族で!
今期最も笑いと気まずさに切り込むドラマ
今週も攻めた内容でお届けした『不適切にもほどがある!』。
「正論チャンネル」で正論を言うジャーナリストや、「雑用するために入社したんじゃない」という理由で仕事を辞めてしまった新人APたち…まさしく令和を象徴するような人たちが登場し、昭和の極論で“令和の当たり前”に切り込んだ。
昭和時代を象徴する出来事も相変わらずである。純子の「10代のうちに遊びまくってクラリオンガールになるんだよ!」という発言や、市郎の「昭和に戻ってトゥナイトみたい」という願望も、大阪万博の半券も、漫画「Let’sダチ公」も、思わずクスッとなる仕掛けが盛り沢山だ。
さらに、番組のAP業務をこなす仲里依紗演じる犬島渚が、タレントの飛行機のクラスを選ぶ際、八嶋智人より上か下かで判断する独特の基準はなぜか少しわかる気がして、クドカンのセンスに脱帽する。
純子とサカエの「宜保愛子なの?」「宜保愛子じゃない!…まさか宜保愛子じゃないと叫ぶ日が来るとはね」という会話も、何気ないワンシーンではあるが、このチョイスは笑いを誘うのに十分すぎる要素だ。
本レビューで挙げた以外にも、細かい仕掛けが効いた本作こそ、ぜひ家族で共有してほしい。
平成生まれにはわからない懐かしいアイテムも、登場人物たちによる危なっかしいやりとりも、昭和生まれの親に「これ本当?」と聞くと、さらに楽しめる。
個人で鑑賞するのももちろんありだが、本作はテレビの前に家族で座って同じ時間を共有することの楽しさを思い出させてくれた。
(文・野原まりこ)
金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』TBS系毎週金曜よる10時放送中
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