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脚本と役者の笑いのキレ

『不適切にもほどがある!』第1話より ©TBS
不適切にもほどがある第1話より ©TBS

これまで第1話と第2話を見てきたが、今回第3話はなぜか大笑いしてしまう爆発力があった。脚本自体の笑いの仕掛けも増えていたこともあったが、ゲスト俳優の八嶋智人やロバート・秋山のはじけぶりと、三宅弘城と阿部サダヲの間違いないコンビにやられてしまった。

秋山が演じた昭和のお色気番組のMC・ズッキーは、女の子の胸に聴診器を当てたり、酒を片手に収録したりとやりたい放題。秋山がハマり役であることもあったが、コントで見せる秋山特有の変な笑い方や振る舞いが、さらに役を高みへ上げていた。

八嶋智人は2話に引き続き本人役で登場。雑な扱いをもろともしない底抜けの明るさとキレキレの動きに、舞台人としての底力を見せつけられた。ドラマであるのに、八嶋智人にだけスポットライトが当たっているかのような存在感は「最終的になんとかする男」として異論はない。

そして、阿部サダヲ&三宅弘城の大人計画組。クドカンの脚本を全て理解している熟練のコンビネーションは本ドラマの面白さを保証する証明になっている。

三宅弘城は登場シーンからエンジン全開。ジュースを飲むひとくだりでも笑いを取りに行く。さらにケツバットを受けるシーンでは、小川先生の指導を思い出すためと言いつつ、ケツの突き出し方でドMであることを示唆しており、こちらもやりたい放題。

阿部サダヲも、渚とのキスシーンの顔が、文脈では言い表すことのできないふざけた表情をしており、脚本を超えたところで笑いのテクニックを見せつける。

毎度のミュージカルシーンも、彼のバンド「グループ魂」の「破壊」を彷彿とさせるハイトーンボイスと、キレキレのダンスシーンは見応えがあり、このパフォーマンスを無料で見られるテレビに感謝したくなる。

今回は笑いを理解した役者たちに軍配があがった。

(文・野原まりこ)

金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』TBS系毎週金曜よる10時放送中

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