声色の使い分けにみる血の通った演技
エリートであると同時に、どこか守りたくなる弱さもある。そんな二面性を持つ手嶋というキャラクターは、演じ手が阿部亮平でなければ成立しなかっただろう。阿部の声質はクールな印象を与えるが、こと手嶋に関しては声の出し方を巧みに使い分けているように感じる。
第7話では犬に向かって優しい声をかけていた手嶋。第8話で梶原を説得するシーンでは、緊張の中にある優しさを、かすかに上ずった声で繊細に表現していた。阿部は、自身の弱さを自覚しつつ、今ある問題にまっすぐと立ち向かう手嶋というキャラクターに丁寧な芝居で血を通わせることに成功している。
阿部にとって手嶋が当たり役であったことは間違いないが、これまでドラマの世界にいなかったようなキャラクターを生み出したことも大きな意味を持つ。今後、阿部はどんな役を演じていくのだろうか。役者としての活躍も注目していきたい。
(文・まっつ)
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