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戸次重幸“堀口”の死に言葉を失った…”最終章”の為に仕込まれていた壮大な仕掛けとは?『GO HOME』第9話考察レビュー

text by まっつ

ドラマ『GO HOME〜警視庁身元不明人相談室〜』(日本テレビ系)が土曜日夜9時より放送中だ。本作は、“名もなき遺体”の身元を特定し、家族の元に返すために小芝風花&大島優子のバディが奔走する、ミステリー×ヒューマンドラマ。今回は第9話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

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【著者プロフィール:まっつ】

1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。

堀口(戸次重幸)の衝撃的な死

『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』第9話 ©日本テレビ
『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』第9話 ©日本テレビ

 『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系)第9話は今までの展開をまるで壮大な“前フリ”に使っていたような印象を強く受けた。

 『GO HOME』は身元不明の遺体を関係者の元へ帰すため、三田桜(小芝風花)と月本真(大島優子)の女性バディが奮闘するミステリー×ヒューマンドラマ。テーマとして「死」を扱っているため、当然そこには悲しさがあるし、なぜこうなってしまったのかという悔恨の念も度々抱いてきた。

 だが、一話完結のスタイルを取ることによって、物語として重くなりすぎていなかった。テンポがいいのも特徴で、桜と真にも辛い過去があったが、10話全体の縦軸にはなっておらず、それぞれ第5話、第4話で解決という形を見せていた。

 だからこそ、第9話で訪れた堀口(戸次重幸)の死は衝撃的だった。これまで身元不明となっていた遺体はすでに亡くなっている状態で登場し、その後に生前のストーリーが明かされてきた。しかし、堀口の場合はすでに8話分彼の生きてきた道を我々視聴者は共有している。堀口が何で笑い、何で怒り、何で悲しむのかを知っているだけに、遺影を前に言葉を失ってしまったのは身元不明人相談室の面々だけではないだろう。

 彼の存在そのものが物語の縦軸として機能していたのかと気づくと同時に、本当の名前が堀口ではないことに衝撃を受ける。堀口は実は戸籍を偽っており、本名は「伊藤和宏」。36年前、和宏の父親が借金の取り立てを刺殺したことで、和宏はいじめなどもあり、学校へ通えなくなってしまう。そんな和宏を救ったのが警察官の磯辺(モロ師岡)だった。

 和宏はそれをきっかけに警察官になることを志すようになるが、身内に犯罪者がいる人間は採用試験を突破することはできない。そこで磯辺の知り合いの公安・佐川(杉本哲太)が戸籍を変えて別人になることを提案し、堀口尚史としてここまで生きてきたのだった。

 もちろん、戸籍を偽ることは犯罪だ。戸籍の偽装が公になれば、堀口の名誉や家族も危険にさらされる。だが、「亡くなった人の本当の気持ちはわからない」。だからこそ、桜はせめて堀口の帰るべき場所を見つけるため動き出す。

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