大河らしからぬメロドラマ演出
ついに訪れた一条天皇の時代。摂政となった兼家の息子である道長と、兼家に背いた為時の娘であるまひろは対照的に道を辿り、2人の身分差はどんどん開いていく。けれど、恋は障害があればあるほど燃えるもの。それぞれの日常を送っていても、脳裏には契りを交わしたあの夜、月の光に艶っぽく照らされた互いの顔がこびりついて離れない。
そんな中、道長からの手紙が届き、たまらず廃邸に足を運ぶまひろ。バックで流れる平安らしからぬ泣きのギターに思わず笑ってしまった。脚本家・大石静の作品には、こういうメロドラマ的な展開が度々見られる。恋に酔っている感じが側から見るとむず痒くて、それがまたいい。
そこでまひろは道長から「妻になってくれ」と言われる。愛する人からのプロポーズ。まひろには願ってもない申し出だ。けれど、まひろの「それは私を北の方(正妻)にしてくれるってこと?」という言葉に道長は黙る。その意味を即座に理解したまひろ。妻は妻でも、道長の言う妻とは妾(側室)のことだった。
「そんなの耐えられない」と拒否するまひろに、道長は「ならばどうしろというのだ!」と激昂。「遠くの国に行くのは嫌だ。偉くなって世を変えろ。北の方でなければ嫌だ。勝手なことばかり言うな!」と珍しく声を荒げ、まひろの元を去っていった。