藤原兼家一族に危機？
道長の妻候補、明子の存在

そんな中、もう一人、道長の妻候補として上がっているのが明子（瀧内公美）だ。明子は醍醐天皇の息子である源高明の娘で、その高貴な血を手に入れるめ、姉の詮子（吉田羊）は彼女と道長の縁談を進めようと図る。

パッと見はあまり表情がなく、距離を縮めようとする明子に対してもひたすら“塩対応”。感情も乏しい女性に思えたが、その内は兼家に対する復讐心で燃えたぎっていた。

というのも、高明は他氏排斥を目論む兼家に嵌められて失脚してしまったのだ。明子は叔父のもとに養子に出され、大宰府に左遷された高明は政界に復帰することなく世を去った。そのため、明子は兼家を強く恨んでいる。だから、その息子である道長との縁談話は彼女にとって復讐のチャンス。

兼家が摂政となった今、藤原氏に擦り寄るほか道はないと思っている兄・俊賢（本田大輔）にも「私の心と体なぞ、どうなってもよいのです。必ずや、兼家の命を奪い、父上の無念を晴らします」と宣言する。

失うものなど何もないと覚悟を決めた人ほど怖いものはない。彼女の登場により、栄華を極める藤原兼家一族にも危機が訪れるか。

（文・苫とり子）

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