井浦新”道隆”の鬼気迫る芝居…独裁者なのになぜか憎めないワケ。NHK大河ドラマ『光る君へ』第17話考察&感想レビュー
吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。平安時代中期を舞台に紫式部の生涯を描く。道長が自分を看病したことを知ったまひろの心が揺れるなか、栄華を極めた道長の兄・道隆が、その生涯に幕を閉じる…。今回は、第17話の物語を振り返るレビューをお届け。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
栄華を極めた関白・道隆の死
都で流行する疫病にかかるも、一命をとりとめたまひろ(吉高由里子)。乙丸(矢部太郎)から道長(柄本佑)が夜通し看病してくれたことを知らされ、心が揺れ動く。
まひろ父・為時(岸谷五朗)も道長の必死な姿を目の当たりにしてから、2人の関係が気になっていた。
一方、道長は民を救うべく疫病患者を収容する小屋を建てようとしていた。だが、道隆(井浦新)は聞く耳を持たない。その頃から、体調を崩し、日に日に衰弱していく道隆は「誰ぞの呪詛に違いない」と安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)を招き、呪詛を払うように命じる。
だが、晴明は呪詛ではなく、寿命が尽きようとしているのだと道隆に告げた。
死を悟った道隆は、兄・伊周(三浦翔平)に天皇に奏上すべき公文書に目を通し、政務を代行する内覧の宣旨をしてほしいと一条天皇(塩野瑛久)に直訴。しかし、大臣たちの間で道隆の言いなりになっていると自分への批判が挙がっていることを知った一条天皇は答えを保留にしたのち、“関白の病の間”という条件付きで伊周に内覧を許可する。
一条天皇を意のままに操ることができなくなり、このままでは一族の繁栄が途絶えてしまうと焦る道隆。何かに取り憑かれたかのように「早く皇子を産め!」と定子(高畑充希)に詰め寄り、一条天皇にも無礼を働くなど、正気を失い始める。
そんな中、まひろの元に訪ねてきたのはさわ(野村麻純)だ。さわは石山寺でのことを謝罪し、まひろから送られた手紙を書き写していたことを明かす。「書き写すことでまひろさまに追いつきたいと思っておりました」。自分の書いた文がさわの心を動かしたことを知り、まひろは書くことへの情熱を駆り立てられた。