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『源氏物語』誕生の瞬間がエモい…一方、ヒヤリとするやり取りも? NHK大河ドラマ『光る君へ』第31話考察レビュー

text by 苫とり子

吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。平安時代中期を舞台に紫式部の生涯を描く。道長は、娘・彰子を慰めるためと、物語を書くことを依頼。ついに『源氏物語』誕生の瞬間が描かれる…。今回は、第31話の物語を振り返るレビューをお届けする。【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】(文・苫とり子)

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【著者プロフィール:苫とり子】

1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。

『源氏物語』誕生の瞬間

『光る君へ』第31話より ©NHK
『光る君へ』第31話より ©NHK

 まひろ(吉高由里子)の頭上から色とりどりの紙が舞い降りる。『光る君へ』第31回では、千年の時を超えて現代まで語り継がれる『源氏物語』がついに誕生した。

 まひろが創作した物語が四条宮の女房達に評判との噂を聞きつけ、自ら家を訪ねた道長(柄本佑)。一条天皇(塩野瑛久)に入内するも、寵愛を受けず寂しく暮らす娘・彰子(見上愛)を慰めるために物語を描いてほしいと頼み込む道長だったが、苦労して書き溜めた原稿を焼失したばかりのまひろは創作に励む気にはなれなかった。

 そんなまひろの気持ちを変えたのが、四条宮で出会った歌人のあかね(泉里香)と、弟の惟規(高杉真宙)だ。以前、宮中で話題の『枕草子』について「つまらない」と感想を述べていたあかねに、まひろはその理由を尋ねる。

 すると、「気が利いてはいるけれど、人肌のぬくもりがないでしょ?」と答えるあかね。それは、かつてまひろに定子(高畑充希)の華やかな姿だけを人々の心に残したいと語っていた作者であるききょう(ファーストサマーウイカ)が意図したことなのだろう。一方、あかねは艶かしさ溢れる自作の和歌をまひろに詠んで聞かせる。

 対照的な2人の創作に触れ、“自分らしさ”について考え始めたまひろは惟規に意見を求めた。一見何も考えていないようで、実は視野が広く、姉であるまひろのことも一番客観的に見ている惟規。

 そんな惟規の「そういうことを、グダグダ考えるところが姉上らしいよ。そういうややこしいところ。根が暗くて、鬱陶しいところ」と率直な答えは嬉しいものではなかったが、少しだけ自分を知れたまひろはそれを表現してみたくなったのではないか。創作意欲が湧き上がり、道長の依頼を受けることにした。

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