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道長の夫婦関係は冷える一方…。

『光る君へ』第31話より ©NHK
『光る君へ』第31話より ©NHK

 まひろとの絆がどんどん深まっていく中で、2人の妻とはすれ違いが続いている道長。娘の彰子が心配するほどに、倫子(黒木華)との夫婦仲は冷め切っている。彰子は自分のせいで2人の関係性を悪くしたのではと思っているようだ。

 そんな中、自分の息子たちにも、倫子との子・頼通に負けない地位を与えてほしいと道長にねだる明子(瀧内公美)。しかし、「倫子の家には恩がある」とそれとなく突っぱねられ、思わず明子は語気を強める。ハッと気づき、謝罪するが時すでに遅く、以降道長の足は遠のいてしまうのだった。

 自分の子供の将来について思いを巡らす2人の妻。彼女たちの不満はおそらく、道長がそんな自分の悩みに真剣に取り合ってくれないことにあるのだろう。一方、道長は物語を書くまひろのために越前の紙を用意し、彼女の娘・賢子には穏やかな笑顔を見せる。

 また印象的だったのは、一条天皇について話し終わった道長にまひろが「帝もまた、人でおわすということですね」と語る場面だ。天皇も親も女性も、当たり前だけど人。悩み葛藤し、恋に心を支配されることもある。

 そのことを、道長は幼い頃から身近な人たちの姿を通して理解しているはずなのに、忘れてしまっているのではないだろうか。だから、妻たちの苦しみに気づけない。そんな道長がまひろに対して真心を持って接していることを、妻たちが知ったらどうなるのか。考えただけで恐ろしくなった。

 そしてラストでは『源氏物語』誕生の瞬間が訪れる。なかなかアイデアが思いつかず、自宅の庭をひたすら往復するまひろ。すると途端にインスピレーションが湧き、物語の一片が描かれた色とりどりの紙が舞い降りてくる。四季折々の景色を織り交ぜた『枕草子』誕生と同様に、物語の核を担う『源氏物語』誕生の瞬間が色鮮やかで幻想的な映像美で表現された。

(文・苫とり子)

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