彰子に気づきをあたえるまひろ
第34回の冒頭では興福寺の僧らが都に押し寄せ、朝廷に要求を突きつける非常事態が発生。興福寺の別当・定澄(赤星昇一郎)は自分たちの訴えを聞き入れなければ土御門殿を焼き払うと道長に迫った。だが、道長は毅然とした態度を崩さず、定澄の要求を突っぱねる。父・兼家(段田安則)にも負けぬその威厳に、定澄も一瞬怯んでいた。
彰子にとっても道長は偉大な父であり、そんな父の朗らかな笑顔に驚いた様子だ。すると、まひろは「殿御はみな、可愛いものでございます」と彰子に語りかける。
右大臣として公卿のトップに立つ道長と、その娘・彰子の女房であるまひろ。
いわば上司と部下のような関係だが、2人の距離感は出会った頃からさほど変わりない。それどころか「お前が頼みだ」と自分に縋ってくる道長は、まひろからしても“可愛いもの”なのだろう。
道長だけじゃなく、まひろは誰のことも常にひとりの人間として見ている。一条天皇のことでさえ、恋に溺れることもある人間として理解しているまひろ。そんな彼女だからこそ、「帝も殿御におわします。さきほどご覧になった公卿たちと、そんなにお変わりないように存じますが」とさり気ない言葉で彰子に気づきを与えることができるのだ。