夜々の告白を言葉少なに受け止める椿
怒りポイントを踏み荒らしていく後輩たちに、夜々は「バーカ、バーカ」と繰り返す。幼稚だな、紅葉に回収されていくところまで含めてかわいいな、と思ったところで、ふと気づく。後輩たちが夜々や紅葉が自分たちの言葉でどれほど傷付くかわからないように、夜々にだって彼らがどんなことで傷付くのか、きっとわからない。通りすがりみたいな存在なんだから、わかるべくもない。
だから夜々は、「バカ」という言葉を選んだのかもしれない。何かを具体的に指摘して必要以上に傷付けることは避けながら、相手に対する敵意を伝える言葉として。夜々のことを買い被りすぎかもしれないけど。
そんな夜々、ゆくえと紅葉が集まれない日に、椿の家で手料理を振る舞う。ご飯を作るのは得意だけど好きじゃなかった、らしい。これも夜々がいままでかかっていた“女の子らしい”の呪縛のひとつだ。
「椿さんはもう好きな男の子じゃないんで」と言うが、やはり完全に気持ちが吹っ切れたわけではなかった。「もう可能性ないですか?」と食い下がる夜々に、「うん、ごめん」と言葉少なに言う椿。こういうときは、こういうときだから、無口になる椿は本当に信頼できる。取り繕うことも、言い訳もしない。「ですよね~」で涙をこぼす夜々が切ないが、いい人に恋をした自分を褒めてあげてほしいと思った。