4人が1人ずつになるために必要な儀式
時を同じくして、気持ちは伝えない、と決めていたはずの紅葉もゆくえに想いを伝えていた。もちろん、こちらも玉砕。それでも、“弟みたい”でも“友だち”でもなく、「紅葉は紅葉」と言ってもらえるのは嬉しかったはず。そこに、紅葉だけの居場所があるのだから。そして、もし結婚したら、このみ(齋藤飛鳥)が妹になるよ、それは嫌だ、と笑い合う。このカラッとした空気が、いい。
それにしても、なぜこのタイミングで2人は告白する気になったのだろうか?
冒頭に書いたように、5人になれなかった4人は、これからも4人として関係を続けていくことになる。きっと、男女2組ずつでもある4人が、きちんと1人と1人と1人と1人になるために必要な通過儀礼だったんじゃないか。
椿の家で過ごせる残りの時間で「ちょっと住む」ことを選んだ4人。それぞれの場所から同じ家に集まってそれぞれの場所に帰るのではなく、同じ家から行って同じ家に帰ってくること。友だちだけど、一歩踏み込んだ関係だ。一旦、気持ちの整理をする時間があったからこそ、選べる選択肢であるように感じる。
「男女の間に友情は成立しますか?」。本作のテーマであるこの問いに対する答えが、まもなく提示されようとしている。
(文・あまのさき)
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