“お人形”からの脱却
夜々が駆け込んだ先は、もちろんみんなの集まる椿の家。ゆくえはそっと目配せをして椿と紅葉を外に行かせるが、話を聞き出そうとはしない。硬くなってしまったピザを温め、コーヒーを淹れる。
ぽつりぽつりと夜々は過去の話をし、ゆくえは彼女が長年感じてきた違和感と居心地の悪さを丁寧に掬い取っていった。「あなたは恵まれてるのよって決めつけて」という言葉に、思わず自分のこれまでを顧みた視聴者も多かったのではないだろうか。
帰りのバスの中で、ゆくえは妹のこのみ(齋藤飛鳥)が小さい頃にぬいぐるみにばかり話しかけていたことを話す。「お姉ちゃんは言い返す」から。自分をお人形と形容していた夜々にとって、言い返さないから自分はお人形なのだという気づきを与えるエピソードだった。ゆくえの理解力と伝える力に脱帽する。
翌朝、夜々が帰宅すると、もう母の姿はなかった。夜々は沙夜子に電話をかけ、感謝とともにこれまで感じてきたことを伝える。今度は、もう少し丁寧に。「私の好きなものをわかった気になっとうとこがすごく嫌い」、これが夜々が1番伝えたかったこと。
それを聞いた沙夜子は反論するわけではなく、「ママも夜々のことが大好き」だから「理想を押し付けてしまった」と謝罪する。そして「夜々は好きな人が何を好いとうかわかってやれる人になってね」と静かに話す。
伝わった、はずだ。沙夜子が綺麗に整えてくれた部屋で、煮物のタッパーを泣きながら抱きしめる夜々は、きっと今すぐにでも沙夜子に会いたかったんじゃないかと思う。