夜々の母・沙夜子は“毒親”なのか?
人によっては、沙夜子のことを“毒親”という人もいるだろう。でも、果たして本当にそうだろうか?
沙夜子にとって念願の女の子、そして自分の幼少期に叶わなかった“女の子らしく”過ごさせてあげたかったというのは理解できない話ではない。むしろ自分がしてもらえなかったことをしてあげたいというのは愛情のひとつだ。
ただ、それがあまりにも一方的だった。だから夜々も、“女の子だから”愛されているだけだと錯覚し、自分の本心を打ち明けにくくなっていたのだろう。だけど、伝える努力をせずに理解してもらおうというのは、やはり限界がある。
理想を押し付けてしまった母と、受け身になってしまった娘のささやかなボタンの掛け違いが、時を経て大きな歪みになった。これは沙夜子だけの毒ではないはずだ。
夜々はまだ、文系の科目よりも数学が好きだったことも、椿と紅葉が椿ちゃんと紅葉ちゃんではないことも、沙夜子に言えていない。今回のことがきっかけになって、より仲のいい母娘となることを期待したい。沙夜子にとっても、そのほうが幸せに違いないのだから。
ぱりっとした紫のシャツに身を包み笑顔で接客する夜々は、いつになく輝いているように見えた。
(文・あまのさき)
【関連記事】
“4つの孤独”に共感が集まるワケは? 高すぎる期待値は超えられた? ドラマ『いちばん好きな花』第1話考察&感想レビュー
繊細な芝居でドラマを支える…松下洸平の演技の魅力とは? 木曜劇場『いちばんすきな花』第3話解説&感想レビュー
内野聖陽“ケンジ”の言葉に説得力があるワケ。ドラマ『きのう何食べた? season2 』4話考察&感想レビュー