「優しいフリをしていただけ」
SHINOのアトリエに行き、初めてSHINOと篠宮が同一人物であることを知った紅葉。そこで紅葉は、篠宮から感謝の言葉を聞かされる。でも実際のところ紅葉は篠宮を利用していたようなもの。その罪悪感から「優しいフリをしていた」だけだと、一緒にいた理由を打ち明ける。
あまりにも苦しそうな表情だった。その表情からも、グループの中で孤独を感じていた紅葉にとっても、篠宮は心の拠り所となっていたのではないかと推察できる。だからこそ、学年が変わってクラス替えとなったとき、紅葉は篠宮に黒崎という友人を紹介した。彼もまた、その前のクラスで孤立していた人物だった。
クラスが別々になってしまった後、廊下で篠宮を見かけた紅葉は声をかけようとする。しかし、篠宮の隣にはもう黒崎の姿があった。紅葉はきっと思ったはずだ、自分はもう必要とされていないのだ、と。篠宮が持つ紅葉への友情が、なくなったはずはないのに。
篠宮は紅葉に「優しいフリしてればいいじゃん」と言った。篠宮は、紅葉が自分に近づいてきた理由をなんとなくわかっていたのだろう。でも、きっかけはどうであれ、2人の間にあった時間や共有したもの、すべてがウソだったわけではない。「そっちの勝手な罪悪感で、こっちのいい思い出塗り潰さないでよ」と涙を流す篠宮が切ない。
「お邪魔しました」とアトリエを去ろうとする紅葉に、篠宮は「バイバイ」と返す。「また来てね」ではなく、「バイバイ」。2人が会うことは、きっともう2度とない。