「男女の間に、友情は成立しますか?」
帰り道、男女の友情について話し合うゆくえと夜々。
男女の友情に関しては「成立する」という人と「成立しない」という人が分かれ、それぞれに持論を展開しがちだ。だけど、それが同性の恋愛となると「成立する」、「そういう人もいる」と答える人がほとんど。「人それぞれ」が、恋愛には当てはまるのに、友情には当てはめることを忘れたみたいに。
この疑問を、恥ずかしながらこれまで感じたことがなかった。いや、男女の友情も同性の恋愛も「あるでしょ」と思っていたのだが、この問いが内包する問題点=性別で友情や恋愛を区切るという矛盾に気付くことができなかった。
本作のテーマである「男女の間に、友情は成立しますか?」に対する答えは、ある意味もう出ているようにも見える。友情、好意、愛情。誰から誰へ向けられていようが、それは等しく本物で、だとすれば、こんな疑問を持つこと自体がナンセンスなのだろう。
ただ、気になるのは本作の4人の関係性が回を重ねるごとに絶妙なバランスの上に成立していることだ。
きっと大丈夫なのだろうが、例えばゆくえに恋人ができた場合、紅葉は嫉妬や後悔などすることなく、変わらずに4人でいられるのだろうか? 夜々もそうだ。椿への想いが実らず、椿に別の恋人ができたとしたら?
そして何より、4人が集まれる場所がなくなってしまったらどうだろう。どうやら椿は引っ越しを決意したらしい。新しい家は、きっと今みたいに広い部屋はないはず。そうなったときに、4人の友情はどんな形になるのだろうか。
これらすべてが「条件次第」の“条件”なのかもしれない。今4人が4人でいるのはこの一瞬、奇跡のバランスなのだよ、と。
このままでいて欲しい気もするし、今は少しお互いへの依存が強いような気もする。6話で急に存在感を増してきたゆくえの友人・美鳥ちゃんと、紅葉の先生が、この関係性に刺激を与える存在になるのかもしれない。
(文・あまのさき)
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