カラオケの廊下を挟んで談笑するゆくえと赤田
ゆくえが1人、カラオケで熱唱する。その背後にぼんやり聞き覚えのある声がする……と思ったら、なんと向かいの個室には赤田(仲野太賀)が。
それにしても、よく一緒に来ていたカラオケボックスに、別々にやって来て別々の部屋をとった2人。もしかして、気付いていた店員さんとかいないのだろうか。いて、向いの部屋になっているのが粋な計らいだったら面白いのに。
1つの個室には入ることができない2人は、そろってメロンソーダを飲みながら、廊下を隔てて話をする。辛そうな態勢なのに、心底楽しそうな笑顔だ。椿の家での修羅場の後だから、楽しそうにしているだけでこちらの頬も自然と緩んでしまう。でもこれが、本当の友だち。
家に帰り、赤田は峰子(田辺桃子)に偶然、たまたま、カラオケでゆくえに会ったことを報告する。報告をしているのだから、やましいことなんてない、そもそも赤田が浮気なんかするわけない。そう言いながらも、それでも彼女は、ゆくえと会うことの不満を口にする。
「彼女とか嫁からは得られない栄養を得られるってこと」「私の栄養だけで育てたい」……峰子の言い分も、きっともっともなのだろう。共感する人も多いのだと思う。だけど、そこに独占欲とか自己顕示欲みたいなものを感じてしまって、背筋がすっと寒くなった。「こんなに俺のこと好きだと思わなかった」と感激する赤田にも。ゆくえの言う通り、やっぱり2人は似た者同士でお似合いだ。