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ドラマの素晴らしい改変
原作ファンも絶賛

Ⓒ「きのう何食べた? season2」製作委員会 Ⓒよしながふみ/講談社
Ⓒきのう何食べた season2製作委員会 Ⓒよしながふみ講談社

このドラマは原作を忠実に再現しているが、演出方法を変えたシーンもいくつかある。

例えば7話では、シロさんが友人の葬儀に参列した回で、スーパーで買い物をしていると小さい子供が祖父母と一緒にいる所をみながら、優しい笑みを浮かべていた。

原作漫画では「本当は孫いてもおかしくないよな、さーて家でご飯作ろうなど」と自分を納得させようと長文で心の中で呟いていた。

今週のストーリーでは、離婚届を見た店長が「思わずわーおと言っちゃった」とケンジに言うシーンでは、原作だと笑顔でケンジも同じく「うわーお!」と言うのだが、ドラマでは複雑な表情で店長の名前をポツリと呟く。

ただ原作通りに再現するだけでなく、”西島秀俊が演じるシロさんならこうするだろう”あるいは、”内野聖陽が演じるケンジならこう言うだろう”とそれぞれの味を引き出すための改変を随所で施すことによって、違和感を生むどころか、漫画の世界観を実写に馴染ませることに成功している。

また漫画だと独立している各エピソードをドラマ版は自然に組み合わせ、綺麗に一つにまとめている。そうした繊細な改変作業から感じとれるのは、監督をはじめとした製作スタッフ、キャスト陣の作品に対する深い理解と愛にほかならない。

原作改変には批判がつきものだが、不思議なことに、ドラマ『きのう何食べた』の改変には納得するどころか、むしろ絶賛の声が寄せられることが多い。その背景には、上述した作り手の愛が視聴者にしっかりと伝わるからではないか。

これからも、原作との細やかな違いも味わいながら、シロさんとケンジの生活を見守っていきたい。

(文・會澤奈津美)

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