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震災の元立ち入り禁止区域である楢葉町
他の地域からの移住組もあつまるコミュニティに誘われる

©「姪のメイ」製作委員会
©姪のメイ製作委員会

東日本大震災から12年。立ち入り禁止が解除された楢葉町には、当時の住人だけではなく、他の地域からの移住組も多くいるという。その移住者たちをつなぐべく、ワイン農園を営む平田夫妻がコミュニティを主宰していた。

移住早々、小津たちはそのコミュニティに誘われ、「秘密結社」という言葉にメイは興味津々。しかも、会合の会場は毎回小津たちが暮らす家でやっていたというから、押されるままに集まりに参加することに。

やや強引なようではあったが、人の少ない町で暮らすにあたって、これはとても心強いことでもあるように感じた。遠くの親戚より近くの他人、という言葉があるが、小津とメイこそ、そういう繋がりで助けられることも多いはずだ。

夜、小津の家に集まった面々は、平田夫妻のほかにもフリーの起業家・岩倉(橋本淳)にはじまり、ロボット開発者・坪野(真飛聖)、双葉町出身の赤井(竹原ピストル)となんともバラエティに富んでいた。小津は彼らとコミュニケーションを重ねる中で、メイのことや自分自身のこと、そして福島のことを知っていく。

たとえばあるときは、岩倉が大熊町の町興しとしてドラマを企画する。その作品にメイも出ることになったのだが、気合と裏腹に全くうまくいかない。何度もテイクを重ね、最終的には監督の指示で平田の妻がその役を務め、1発でOKをもらう事態に。

さすがに落ち込むメイを心配する小津に対し、岩倉は「メイちゃんを子ども扱いしすぎ」と言う。自分のレベルに合った問題が試練として用意され、それをクリアしていくのが人生なのだから、と。深くは描かれていないが、“金持ちのボンボン”とSNSで言われながらもなんとかして自分で事を成そうとしているらしい岩倉のこの言葉は、小津のみならず、観ている者の心にも沁みた。

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