「恋愛で勝てるとは思ってないよ」
恋敵たちの健気な姿
大学バスケ部のコーチ・美鈴(武田玲奈)も、ちよみを訪ねてくる。美鈴が南くんを好きになったのは、最初の試合がきっかけだった。コーチが下手だから負けたと笑う相手選手を、南くんが怒ってくれたのだ。南くんに恋人がいることは、その頃から知っていた。ちよみのように愛されてみたかった、うらやましかったと正直に言える美鈴は、なんて強い女性なのだろう。
「恋愛で勝てるとは思ってないよ。でも、コーチと選手の関係は奪わないでください」と、真剣な眼差しで口にする美鈴。南くんに恋するひとりの女性としてではなく、チームをまとめるコーチとしての訴えからは、彼女の気丈さと懸命さがひしひしと伝わってきた。
またある時には、手芸部部長の恭介(今井柊斗)と出会う。ちよみと南くん人形の、ペアTシャツを作ってきたというのだ。本来ちよみに想いを寄せる恭介にとって、南くんは恋敵のはず。それなのに仲を深めるような行為をしたのは、ちよみの役に立ちたかったから。
その献身的な行動は、愛以外の何物でもない。秘密を守る、理解する、コーチとして支える、友人として力になる…。多様な愛の形を見てきたが、南くんはちよみにどんな愛を捧げるのだろうか。