消える前の心構え?
南くんのちよみへの愛
恭介が渡したTシャツには、大きく「HEAVEN CAN WAIT(天国は待ってくれる)」と書いてあった。洋画のタイトルだというが、脚本を担当する岡田惠和が執筆した小説の題名も『天国は待ってくれる』。この言葉が、今後の物語の何らかのヒントになる可能性は高い。
南くんはTシャツの文字を見つめた後、ちよみに将来のことを聞く。同じ大学を受けるつもりと答えるちよみを、なぜか南くんは否定するのだ。「小さくなってから、ちよみは俺のこと好きになりすぎだって」「自立っていうか、俺がいなくても生きていけるようにならないといけないんだ」と言いながら、表情を歪ませる。
これはきっと、南くんの本心ではない。もし自分が早苗(国仲涼子)と同じように消えてしまっても、ちよみがひとりで人生を歩めるようにするための優しさなのだろう。自分はすでに死んでいるから、もうすぐちよみとも会えなくなる。
少し思い込みすぎているような気もするが、当事者である南くんはそうとしか考えられなかった。消える側に心構えがいるように、姿を消される側にも心の準備が必要になる。手遅れになる前に距離をとっておくことは、南くんなりのちよみへの愛なのだ。
ひとつ気になったのが、別世界線の南くんを思わせるシーン。雷鳴が鳴り響いた後、瞬く間に時間が戻っていく。そこには、事故にあって小さくなることなく、ちよみと無事“お城”に行けた南くんがいたのだ。
“もしも”を映し出した場面だが、その光景があまりにも鮮明だった。妄想や夢オチではない。あり得た世界なのだと突きつけられているようで、やりきれない気持ちが沸々と湧いてくる。南くんが元に戻れる可能性はあるのか。第7話を心待ちにしたい。
(文・西本沙織)
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