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斬新な展開なのになぜ共感される…?『西園寺さんは家事をしない』がラブコメの王道を行かないワケ。第6話考察レビュー

text by 菜本かな

松本若菜主演、松村北斗共演のドラマ『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)が放送中。本作は、家事をしない主人公・西園寺さんが年下の訳ありシングルファーザーと「偽家族」として暮らすハートフルラブコメディ。今回は、第6話のレビューをお届けする。(文・菜本かな)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:菜本かな】

メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。

“家族以外にも頼れる存在がいる”こと

『西園寺さんは家事をしない』第6話より ©TBS
『西園寺さんは家事をしない』第6話より ©TBS

 『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)第6話。楠見くん(松村北斗)が、西園寺さん(松本若菜)への愛情を「ルカ(倉田瑛茉)への愛情と同じ。家族愛です」と言い出した。

 楠見くんに対して、密かに恋心を抱いていた西園寺さんからしたら、“家族愛”と言われてしまうと微妙な気持ちになるのでは? と思ったが、当の本人は「偽家族、最強モード突入!」と大喜び。

 正直、この楠見くんの発言って、「男女としての発展はないです」と遠回しに言われているようなものだ。それなのに、落ち込むどころか「(楠見くんへの気持ちは)より大きな愛を前に成仏!」と盛り上がっていた西園寺さん。彼女にとってのいちばんの幸せは、楠見くんと結ばれることよりも、このまま“偽家族”を継続させていくことなのだろう。

 『西園寺さんは家事をしない』は、新たな家族観を提示してくれる作品になると思う。よくあるラブコメならば、このまま西園寺さんと楠見くんは恋人として結ばれて、“偽家族”から本物の家族になる。でも、本作は通常ルートとは異なる方法で、人と人との結びつきを表現してくれるはず。

 ただ、むずかしいのが、男女がひとつ屋根の下で暮らしている以上、そこには何かしらの偏見も生まれてしまうということ。もしも、西園寺さんと楠見くんが同性ならば、「助け合っていて素敵ね」となるところ、異性だからこそ「本当に恋愛感情はないの?」と疑ってかかってくる人もいるだろう。実際、西園寺さんは楠見くんに対して恋愛感情を持っていたわけだし、みんながみんな横井(津田健次郎)のようにあっさり受け入れてくれるかは分からない。

 でも、本作を観ることで、新たな価値観を取り入れられる人が、少しでも増えてくれたらいいなと思う。血縁関係がないと家族ではないとか、他人には頼ってはいけないとか、異性を助けたいと思うのは恋愛感情があるからだとか。筆者自身も、そういった固定観念が、『西園寺さんは家事をしない』を通して、ちょっとずつ薄れていくのを感じている。

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