明らかになった大河の過去
スマートフォンからは何も出てこず、金属探知機で隠し持っていたデバイスが見つかった。裏切り者は詩(山本千尋)と奏(安斉星来)。すんでのところで防犯システムのハッキングは阻止され、2人は身柄を拘束される。
瑠美(サーヤ)が人質たちに拘束されたとき、龍に従うよう松長(後藤剛範)たちに銃を向けていた2人がまさか、と驚きを禁じ得ない。
ハッキングが失敗に終わるのを見た大河は「遅かったな…」と呟いていた。ここまでは折り込み済みということだろうか。とすると、獣たちを揺さぶるなんらかの方策をまだ仕掛けてくる可能性がある。
一方の武蔵は、裕子の勤務先である横浜湾岸病院へと向かっていた。そこで病院長に話を聞こうとしたところで警備員ともめている女性を発見。彼女によれば、裕子が自分の娘よりも後に運ばれてきた代議士の妻の治療を優先し、そのせいで娘が助からなかったという。しかも、この病院では以前にも同じようなことがあったらしい。
途端に顔が曇ったように見える病院長。分が悪くなったからだろう、患者の担当は外科部長の棚倉に一任しているとお茶を濁した。探られたくないことがあるのは火を見るよりも明らかだ。
調べを進めると、1年前、心肺停止の状態で運び込まれた大河の姉・新見百花を早々に死亡と判断、かながわ新空港促進協議会会長の丸亀の治療を優先させていたことが判明した。あってはならない命の順位付けがなされていたわけだ。
最愛の姉を亡くした直後、一刻を争うほどではなかった丸亀が優先され、秘書に感謝された担当医が「医者として当然」と応じているところを目撃してしまう。このときの遺族としての心の傷はいかばかりか。
医者として当然、でも、その“当然”の治療も受けられぬまま姉は命を落とした。たまたま2人の会話を耳にしてしまったときの大河の目の鋭さに、背筋に冷たいものが走る。絶望に端を発した憎悪の深さは計り知れない。