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ホスト、トー横キッズ…ではなくまさかの「シニア問題」。クドカンが描きだす今とは? 『新宿野戦病院』第1話徹底考察&評価

text by 田中稲

小池栄子と仲野太賀がW主演のドラマ『新宿野戦病院』(フジテレビ系)が7月3日(水)より放送開始した。宮藤官九郎の最新作である本作は、新宿歌舞伎町にたたずむ病院を舞台に、様々な”ワケあり”の患者が訪れる。今回は、第1話を多角的な視点で振り返るレビューをお届けする。(文・田中稲)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

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【著者プロフィール:田中稲】

ライター。アイドル、昭和歌謡、JPOP、ドラマ、世代研究を中心に執筆。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡出る単 1008語』(誠文堂新光社)がある。CREA WEBにて「田中稲の勝手に再ブーム」を連載中。「文春オンライン」「8760bypostseven」「東洋経済オンライン」ほかネットメディアへの寄稿多数。

ウッカリしていたら置いていかれそう…。
1話から膨大な情報量とスピード感

『新宿野戦病院』第1話より ©フジテレビ
『新宿野戦病院』第1話より ©フジテレビ

 初回からセリフの撃ち合い、かわし合い!まさにドラマの進行具合も戦いの様相をなしていた 『新宿野戦病院』(フジテレビ系)の第1回。2024年冬クールドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)で令和のコンプラをくすぐった宮藤官九郎の最新作だが、今回も不適切をスルーしない。

 笑ったり、しんみりしたり、攻めすぎじゃない? と心配になったり、様々な感情がレーザービームのように飛び回った。心が慌ただしいこの上なし!

 舞台は新宿歌舞伎町の路地にひっそりと建つ「聖まごころ病院」。美容皮膚科医・高峰享(仲野太賀)、小児科医の横山(岡部たかし)、泌尿器科・性病科医の田島(馬場徹)など、個性豊かな医師たちが働いている。

 会話に耳を傾けると、下世話極まりない話で盛り上がっている。そのやりとりはクドカン節炸裂で、決してナチュラルではない。非常によくできた掛け合い。コントっぽいのに、なぜかリアルに病院の裏側のぞき見している気持ちにさせられるのだ。

 それは岡部たかしの存在感が非常に大きい。パパ活の話題に花を咲かせるあの鼻にかかった声を聞き、「若かりし頃バブルでいい思いをした過去」をブワッと想像してしまったのは私だけだろうか。

 そしてなにより仲野太賀である。イラつくわ~! 朝ドラ『虎に翼』(NHK総合、2024)では、あんなに真面目で優しかったじゃない優三さん、と叫びそうになったが、いや待て。

 思い出してみれば、彼には宮藤官九郎脚本の『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系、2016)で、山岸という苛立ちキャラの極みを演じた経歴があった。あのときも出てくるたびにムカムカさせられたものだ。

 ゆとりモンスター、再び。今回もめいっぱいムカムカさせられそうである。

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