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仲野太賀”享”&小池栄子”ヨウコ”のキスよりさらに衝撃的だったシーンとは? 『新宿野戦病院』第10話考察&評価

text by 田中稲

小池栄子と仲野太賀がW主演のドラマ『新宿野戦病院』(フジテレビ系)が現在放送中。宮藤官九郎の最新作である本作は、新宿歌舞伎町にたたずむ「聖まごころ病院」を舞台に、様々な”ワケあり”の患者が訪れる。今回は、第10話を多角的な視点で振り返るレビューをお届けする。(文・田中稲)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

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【著者プロフィール:田中稲】

ライター。アイドル、昭和歌謡、JPOP、ドラマ、世代研究を中心に執筆。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡出る単 1008語』(誠文堂新光社)がある。CREA WEBにて「田中稲の勝手に再ブーム」を連載中。「文春オンライン」「8760bypostseven」「東洋経済オンライン」ほかネットメディアへの寄稿多数。

コロナ禍のあの強烈な3年間を忘れていたことに気づく…。

『新宿野戦病院』第10話より ©フジテレビ
『新宿野戦病院』第10話より ©フジテレビ

 
 第10話、ナレーションはまさかの英語&岡山弁という「ヨウコ語」バージョン。コロナとはまったく別の「ルミナウイルス」が蔓延していく回だったが、宮藤官九郎が突き付けてきたのは、ズバリ、コロナ禍の追体験だった。

「ルミナ禍」は、人は何一つ学習していない、という体であの2020年からの混乱と同じ風景が描かれ、観ているこちらは、タイムスリップしている感覚…。

 ニュースは、感染者人数や、感染の原因場所まで特定し発表される。それが恐怖を煽り、SNSでは感染が悪いことのように拡散されていく。亡くなっても家族は遺体を引き取れず、骨壺だけがぽつんと置かれているところに行くしかない――。

 ドラマが進むごとに、まざまざと思い出す。2020年4月7日に東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言が発表され、4月16日に対象を全国に拡大していった。人生、こんなことがあるなんて、とクラクラしたことを覚えている。

 ニュースはウイルスの画像ばかり、軽症の方はホテル療養、外でもマスクを取れない、三密回避、自粛警察、食事の時のついたて。高齢の母がいる堀井さん(塚地武雅)、幼い子どもがいる横山先生(岡部たかし)の感染の危機感と、他の人との温度差。時にヒステリックになる二人の姿に、コロナ禍の自分を思い出した。

 マスクとか防護服とか、静まり返る街とか、歌舞伎町と聖まごころ病院を通して再現されていく。一切誇張して描いていない。まるでディストピア。息をするのも周りに気を使うようなあの強烈な3年間を、自分はこんなにも忘れていたのだ、と気づかされ、本当に驚いた。

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